なぜ退職金の増税をするのか
「成長分野への労働移動の円滑化」を理由として、「退職所得課税制度の見直しを行う」というのが、増税の建前です。
ですが、だれもそれが増税の理由とは思っていないですよね。だとすると税収の増加・維持が理由と考えられます。その視点で、退職金増税の必要性を考えてみます。
確定拠出年金の広がりの影響
一次情報ではありませんが、企業型の確定拠出年金の導入率は2012年で12%でした。これが2022年では25%になっています。この増加率を多いとみるか、少ないとみるかひとによってことなるでしょう。
単純に退職金増税したいという理由を除くと、理由は2つくらい思いつきます。
理由1)確定拠出年金の拡大によって税収が減ることが危惧される
理由2)確定拠出年金の導入率を上げたい
それぞれ考察してみます。
理由1)確定拠出年金の拡大によって税収が減ることが危惧される
確定拠出年金は一時金控除と公的年金控除が受けられます。
一方で、退職一時金は一時金控除しか使えません(★)。
★まだ退職金を年金で受け取れる企業は、公的年金控除も使えます。その場合は、確定拠出年金と同じように一時金と年金の併用で、節税が可能です。
例えば、2500万円の退職金で試算すると所得税は12万円になります。
このグラフの見方ですが、横軸は確定拠出年金を一時金にする割合です。
退職金が2500万円、確定拠出年金が0円なので割合を変えても0円で、結果は変わりません。

総額2500万円でも、確定拠出年金を導入している企業ではどうなるでしょうか?
結果はしたのグラフになりますが、わかるでしょうか?(´ー`;)
一時金割合100%では、確定拠出年金を未導入の企業と同じく12万円の所得税になります。
この確定拠出年金のうち、10%以上を年金で受給すると、所得税は0円になります。
つまり、確定拠出年金の導入企業が増えるほど税収が減ります。
この税収の減額を補うための退職一時金控除の減額(=退職金増税)と考えることができます。

理由2)確定拠出年金の導入率を上げたい
理由1で分かったと思いますが、確定拠出年金を使うと、節税することができます。
一方で、確定拠出年金を導入しない企業のひとは節税することができません。
(注:退職金を一時金でしか受け取れない企業に限るので、考察が甘いな・・・)
つまり、確定拠出年金を推進して、預貯金を投資に回そうとする意図とも考えられます。
終わり
「成長分野への労働移動の円滑化」とか意味不明な理由を持ち出してくるあたり、好意的に受け取るのは危険なので、理由1の税収減を危惧しているのでしょうね。
え?ただ増税したいだけだって?(´ー`)ソウカモ シレナイ
色々な考え方ができるようになって、暮らしが変な方向に行かないようにしましょう。
ではまた!( `ー´)ノシ
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